僕を壊したのは君だから。

暑さに幻覚をみせられているのか、ありえないほどセクシーな目つき。


重さのない言葉にくらっとさせられて。


ドックンと心臓が鳴ったと同時に、朝比奈くんは私自身に手を伸ばした。


「きゃ……っ。あ……」



抱き着かれたのかと一瞬勘違いしちゃった……。


そうじゃなくて。


朝比奈くんは私を壁に押し付けたんだ。


背中に感じる、壁の冷たさが気持ちいい……。



「宮岡さんはそこでちょっと涼んでて」



耳元で聞こえた声が離れていく。



今まで何とか堪えたポーカーフェイスを崩して、音が出ないようにため息をついた。



びっ……くりしたぁ……。



……壁の冷たさに生き返る気分だけど、こんなの心臓が動きすぎて、帳消しだよ。


朝比奈くんの馬鹿。


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