僕を壊したのは君だから。
「まぁそんなことよりね」


”そんなこと”にしないで。



「宮岡さんが救急車で運ばれた後、噂が独り歩きしたのか『裸で何してたんだ』っていう変な想像力の効かせ方した生徒がいたんだよね」



「は……」


裸で……!
そうだった。忘れてた……!


羞恥心に苛まれる私なんかおかまいなく淡々とした声が続いていく。


「で、みんながあまりにしつこかったから、俺つい言っちゃって」


「なにを……?」



すごく嫌な予感がする……。



「『脱いでたってことは、”そういうこと”なんじゃない?』って」


「そ」


「そ?」


「そういうことって!?」


「そりゃ、服を脱いでするようなアレ。つまり、」



私だって、もう十分意味はわかってるのに。


耳もとに手を添えて
「……セックス」とささやかれた。



「言わなくていい……!」



熱くなった頬を覆うと、朝比奈くんは「ふっ」とこらえきれずに吹き出して笑いに震えている。


最低な人間だ。

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