私たちの春は白
「おばあちゃん!!」

私は砂の上を走る。目の前の景色全てがぼやけて、やがて私の両目から涙となってあふれ出す。嬉しいのに泣くなんて、人って不思議な生き物だ。

「……おばあちゃん!おばあちゃん!」

私はおばあちゃんを抱きしめ、小さい子どものように泣く。おばあちゃんは私の背中を優しくさすってくれて、思い出してくれたんだとますます涙が止まらなくなった。

「……わかろうと、し、しなくて、ごめんなさい。ほ、ほんとは、寂しかった。大切でだい、大好き!だから……だか、ら、受け止めたく、なかった。おばあちゃん、が、私たちを、忘れてるってお、思いたくなかった」

しゃくり上げながら私は言う。ずっと心の奥底に隠していた本音。誰にも言えなかった気持ち。躊躇うことなくおばあちゃんに言えた。おばあちゃんは、私に笑顔を見せてくれた。優しい、いつもの笑顔。私の大好きな笑顔……。

「おばあちゃんは、葵ちゃんが孫で本当に幸せだよ。翠くんと葵ちゃん、二人の優しい孫に恵まれて、本当に幸せ。ありがとう」
< 109 / 113 >

この作品をシェア

pagetop