指輪物語 ーあなたの海になりたいー
「あんな堂々と、こんな下駄箱前で告白とかしちゃうもんかねぇ」
「はっ!?」
他人事のように、つぶやく寛太に俺は驚き振り向いた。
「あれ、3年の柏木先輩だろ」
「寛太知ってるのか?」
「知ってるも何も、あの人が例の“指輪物語”の主人公だろ」
「どうしてそれ……」
「そんなの、みんな知ってるよ。有名な話だ。しかも有名大学を受験するとかで、頭も良くて、なかなかモテるらしい」
「……モテる……?」
ヒサ先輩が……?
ウソだろ……。
しかも“指輪物語”の主人公だって、みんなが知ってるなんて、俺はそれを知りたくてこの学校をわざわざ受験したっていうのに……。