懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


「言いそびれていたけど、昨日うちの父からベビーベッドにベビーカー、チャイルドシートまで届いたよ」
「お父様から? そんなに?」


大物のプレゼント一式に驚かされる。

喜代と杏はちょくちょく病院に顔を出すが、隆一は出産当日に一度面会しただけだったので、仕方なしに結婚を承諾したのかと、里帆は勘繰っていた。そんなにたくさんのプレゼントをしてくれるのだから、きっと遠慮しているのだろう。

そういえば……。
喜代と杏がマンションにやって来たときに、隆一のパソコンの検索履歴にベビーベッドがあったと話してくれたのを思い出した。


「もうすでに溺愛。〝ジジバカ〟ってやつか」


亮介は半ばあきれ顔だが、本音ではうれしいに決まっている。
ずっと反対されていたため、そのギャップには里帆も戸惑いはあるが、喜びのほうが大きい。黒木家の全員から祝福されて幸せだ。


「それからいい名前を思いついたよ」
「名前! そうなんですね!」


使いたい漢字をそれぞれに発表したのは、出産直後の夜。
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