懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「五人分ほど用意してまいりました」
そう言ってデスクにクリアファイルを広げる。出てきたのは、マリオスターの女子社員の顔写真が載った紹介文だ。
「この中からお選びになってはどうかと。本社内はもちろん、日本全国の店舗から選りすぐった社員ばかりです」
亮介は憂鬱そうにため息をついて成島をぎろりと睨み上げた。
「秘書はいらないと何度も言ってるだろ」
スケジュール管理も情報管理も、里帆が秘書としてここへやって来る前まで自分でやっていたのだから。来客のときにはほかの役員の秘書に手を貸してもらえば、なんら問題ない。
社長に就任してからのここ四ヶ月も、とくに業務に差し支えはなかったはずだ。
「ですが、やはりマリオスターの社長ともなれば、専属の秘書は対外的にも必要かと思います。こちらなんてどうでしょうか。現在は人事部に在籍しておりますが、秘書検もCBS検も取得している者です」
成島が五枚の中から一枚を取り出す。