懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


そろそろお開きかな?というタイミングで店のスタッフが再び現れる。両手に持っているものを見て、目が点になった。

里帆の幻覚でなければ、真っ白なデコレーションケーキだったのだ。それもホール。
チョコレートで〝ハッピーバースデー里帆〟と書かれていた。


「えっ……?」
「明日、誕生日だろう?」
「そう、です……けど……」


亮介の言うとおり、明日は里帆の二十六歳の誕生日だ。

思いがけないサプライズが里帆の胸を高鳴らせる。それも仕掛けたのは、誰もが憧れる亮介だ。


「誰かがお祝いしてくれるかもしれないから、明日じゃ無理だろう?」
「誰かって?」
「決まってるだろう。男だよ」
「そ、そんなのいません。っていうか、セクハラですよ、副社長」


不意打ちで誕生日を祝ってもらった恥ずかしさと戸惑いを隠すために、軽い口ごたえをする。先ほどの隼とのやり取りを見たせいもあるかもしれない。
ふたりのように友達ライクに言い返した。
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