懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「亮介さんと別れてこの街に来て、あの店で知り合った彼と。ね?」
同意を求めて修太朗を見たのに、彼は難しそうに眉をひそめたまま。
お願い、そうだと言って。
そんな念を送っても、まったく意に介した様子はない。修太朗は運ばれてきたコーヒーカップを見つめて、口を真一文字に結んでいた。
「本当にそうなんですか?」
亮介が修太朗に問いかける。
異様な速さで鼓動が刻んでいく。修太朗の答えひとつで、すべてがふいになる。
亮介を守りたくて、ここまでやってきたのだから。
なにかを決意したかのように修太朗はぐっと顔を上げた。
「違います。俺は里帆ちゃんのお腹の子の父親じゃありません」
「えっ……」
思わず絶句する。まさかの回答だった。
「里帆ちゃん、ごめん。やっぱりこんなのよくないよ。お腹の子どものためにも里帆ちゃん自身のためにも、きちんと彼と話すべきだ」