たとえば、こんな人生も
「いつき本人に聞いてみるといい」

「でも、サプライズしたいんです」

「そうか。なら君の手料理はどうだい?」

「…私の?」

「いつきに料理を習ってるんだろう?
いつきは振る舞うことはあっても
その逆はあまりないだろうから」


幼い頃から
母親の代わりに料理をしてきたから
自分が誰かに料理を作ってもらうのは
新鮮だろうと付け足すオーナー


「自分のために料理を作ってくれる
それはすごく嬉しい事だと私は思うよ」

「……それは、私も思います」


実際に私がされて嬉しかったことのひとつだから



『俺だけに何か作って』



……ふと、思い出す言葉


前にいつきさんに言われた言葉

いつきさんとの約束


料理もお菓子作りも大分上達した
ひとりでもちゃんと作れるようになった

ちょうど良いかもしれない

私の料理で喜んでくれるかは分からないけど


「そうします
オーナー、ありがとうございます」


ぺこりと頭を下げて笑いかければ
オーナーは嬉しそうに笑顔を返した
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