白雪姫に極甘な毒リンゴを

 確かに言われたよ。


 七星くんのペンケースを買いに行った
 あのお店で、
 ボロボロ泣き出した私を抱きしめて、
 言ってくれたよ。


 でもそれって、
 お兄ちゃんの妹だからだよね?


 それに知っているよ。


 紫音くんが、初めて私を見た時に、
 憧れの一颯先輩の妹が、
 こんな冴えない子だって、
 ガッカリしたことを。


 それなのに、なんで?


 なんでそんなことを言うの?


 『辛いことがあった時は、
 真っ先に俺のところに来い』だなんて。


 七星くんのことで
 頭の中がいっぱいだったのに、
 紫音くんの意味不明な行動も相まって、
 私の脳はパンク状態。


 私の脳みそがグルグル渦を巻いて……


 目の前が、だんだんぼやけてきた……


 遠くで、私を呼ぶ声が聞こえる。


 すごく大好きな声なのに、
 どんどん小さくなって、消えていく……


 私はその心地いい声に誘われるように、
 ゆっくり目を閉じた。

 
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