元カレと再恋愛ってありですか？
「メインシェフ」
もらったばかりの名刺を見ながら紗那がつぶやく。
二人はもう一度接客ブースに戻りコーヒーを飲んでいた。
2人ともブラックコーヒーだ。
「イタリアで5年間修業して、戻ってから内田さんと会ったんだ。それからGREENのシェフになって、内田さんが経営で忙しくなってから俺がメインシェフになってもう5年だ。」
「すごいね。かなり有名店でしょ？GREENて」
「おかげさまで。食べに来たことある？」
「ないよー。」
「今度ごちそうする。新しい店の構想も伝えたいしさ。」
「うん。ぜひ。」
新しい【WHITE】のことはすべて奏介に一任していると内田は言った。
内田は本場の料理をもっと広めたいというかなり精力的なシェフで、インターネットでのイタリアンパスタやソースなどの販売もしている実業家だ。

「イタリアの家庭料理をメニューに入れようと思ってんだ。」
「家庭料理？」
「そう。もっと日本の人にも知ってほしいイタリアの料理って実は多いんだ。もちろん、日本人の味覚に合うようにアレンジは必要だけどな。」
話している奏介の表情がかなり生き生きとしていることを感じて紗那も笑顔になった。
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