オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
真剣に悩んでいるのに、二人はとても楽しそ

うで。

「ももちゃんは蓮人さんとちゃんと話した

の?」

聖菜の問いに、心がざわめいた。

私、何も聞いてない。

ただ一人で蓮人さんを疑ってるだけだ…。

「蓮人さんと仲直りしたいなら、お前からち

ゃんと話せ。」

「うん…。」

その日の放課後、バイトでカフェに行くと、

蓮人さんはいつもの席にはいなくて。

「蓮人がショック受けてるよ。」

龍也さんは私の隣にゆっくり近づいて、弄ぶ

ように囁く。

「そう…ですか…。」

龍也さんを振った手前、蓮人さんとのことで

心配かけるなんて私、最低だ。

「龍也さん…私…。」

「ももちゃん。」

謝ろうとする私の声を遮って、龍也さんの手

が私の頬を包んだ。

「いつまでもそんな顔してたら、奪っちゃう

よ?ももちゃんのこと。」

「えっ?」

いつもの優しい笑顔だけど、寂しさが混ざっ

ているようにも見える。

「蓮人はももちゃんのことほんとに大事に想

ってる。だからオレは譲ったんだ。」

龍也さんが零す言葉の一つ一つに、私と蓮人

さんを想う優しさが滲んでいる。

龍也さんはそういう人だ。

だから、こういうときに伝える言葉は。

「ありがとうございます!ちゃんと蓮人さん

と話します。」

このまま蓮人さんから逃げてたら一生後悔す

る。

バイトが終わると、その足で蓮人さんの家に

向かった。
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