オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~

幸せを抱きしめて ~蓮人side~

デートの後、ももからの連絡が途絶えた。

「龍也。オレ、ももに嫌われたかも。」

「何があった?」

何がって言われても、オレが聞きたい。

オレはデートの途中でももの様子が変わった

ことを話した。

楽しくなかったのか?ももが嫌がることした

のか?

わかんねぇよ。

「オレにわかるわけじゃないけどさ。ももち

ゃんはそんな簡単にお前のこと嫌いにならな

いと思うよ。」

「なんでそんなこと言えんの?」

「そんなのずっとももちゃんのこと見てるか

らとしか言えないよ。」

龍也は切なく微笑み、それでも答えてくれ

る。

「悪い。」

龍也が今でもももが好きだってわかってるの

に、オレ最低なこと言った。

恩人で親友で、施設から出たオレをいつも助

けてくれた龍也の優しさに甘えていたことに

今更気付かされる。

「ももちゃんのこと泣かせたら、オレ奪うか

らね?」

いたずらっぽい口調だけど、本気ともとれる

言葉。

「ももは誰にも渡さねーよ。」

それだけ言い残して、オレはカフェを出た。

「蓮人に敵うはずないでしょ。」

苦笑を滲ませて呟く龍也に気付かずに。

もものバイトが終わる頃、ももの部屋の前に

来ていた。

しかし、なかなかももは帰ってこない。

「まさか、またあいつ…。」

初めてももと出逢った日を思い出して、いて

もたってもいられず走り出すと、道の先から

愛しい彼女が走ってくるのが見える。
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