オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
この愛だけは手放さないように、必死に蓮人

の首筋に腕を絡みつける。

「ももの全部、オレが貰っていい…?」

「うん…。」

蓮人だけに私の全部をあげる…。だから…。

「蓮人の全部も…私にくれる…?」

「全部やるよ…。愛してる。」

「私も…愛してるよ。」

初めての恋も、初めての彼氏も、初めての嫉

妬も…。そして、初めて体を重ねるのも。そ

の全てが蓮人で、蓮人にとっての初めても私

なのが嬉しい。この奇跡みたいな恋に、愛

に、幸せに、つい涙が零れてしまう。

「もも…。」

私の涙に気付いた蓮人が心配そうに名前を呼

んでくれる。

この涙は怖いからじゃないよ。幸せすぎて。

涙が溢れてしまうほど、あなたが愛しくて。

だから、何度でも言わせて?

「大好き…。」

蓮人の体に抱きつくと、包み込むように受け

止めてくれる。

「大丈夫。身も心も、オレに委ねるだけでい

い。」

私は蓮人の腕の中で、愛の海に溺れていっ

た。

目が覚めると、愛しい人がすぐ隣で穏やかに

寝息を立てている。

「お誕生日…おめでとう。」

一言だけ小さく呟いて、もう一度眠りに落ち

た。

こっそりと聞いていた蓮人は、彼女の額に口

づけて微笑んだ。

「ありがとな。」

太陽が空のてっぺんに昇った頃、窓に差し込

む光に目を覚ます。

大きなベッドには私一人が寝ていた。

部屋を見渡すうちに頭が冴えてきて、部屋の

外から音が聞こえてきた。
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