オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
黒宮さん。青田さん。

「ありがとうございますっ!」

零れ落ちてしまいそうな涙を必死に堪えて、

精一杯の笑顔で感謝を伝えた。

私の笑顔で二人が笑ってくれるなら。

どんな時でもたくさん笑ってみせるよ。

「じゃあ、苗字呼びやめようか。」

「へっ?」

黒宮さんの不意の言葉に思わず変な声が出

た。

「確かに。名前で呼んでほしいなぁ?」

青田さんも口角をあげてニヤニヤと私を見て

くる。

突然そんなこと言われても。

「もも。」「ももちゃん?」

「「呼んで?」」

二人とも、ちゃんと鏡見たことあるのか

な…?

そのキラキラした顔を近づけないでくださ

い…!心臓が破けそう…。

「蓮人さん…、龍也さん…。」

喉を振り絞るように出した声は、思ったより

小さくて。

「今はこれくらいで許してやるよ。」

「よく言えたね。」

一度飛び跳ねた心臓は、大きな音でリズムを

刻み続けた。

その後、蓮人さんは家事をしてくれて、龍也

さんは足の手当てをしてくれた。

「じゃ、なんかあったらすぐ連絡しろよ。」

「オレにもね?」

二人は帰り際、そう言って、私の部屋を後に

した。

部屋で一人になると、途端に寂しさがこみあ

げてきた。

「二人とも、かっこよすぎるよ…。」

運命の歯車は、既に動き始めていた。
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