オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~

初恋 ~蓮人side~

4月。

道を歩けば、高校生が楽しそうに笑ってい

る。

スーツ姿の若者が緊張した顔で歩いている。

オレは、毎年4月22日、この桜並木を通っ

て、あの場所に歩いている。

「父さん、母さん。18歳になった蓮人で

す。」

毎年父さんと母さんに会いに来ている。

ほとんど記憶もない、オレの両親。

オレが4才のころに交通事故で亡くなってい

る。

行き場を失ったオレは施設に引き取られて去

年から独り立ちした。

「また来るよ。」

両親の記憶がないオレは、産んでくれたこと

に対する感謝を伝えるため、年に一度、命日

だけ、手を合わせに来る。

オレにとって両親は、オレを産んでくれた

人。家族の繋がりは感じたことはない。

施設でいつも笑いかけてくれた先生が親代わ

りだった。

両親に別れを告げて、オレは施設に向かっ

た。

「先生。お久しぶりです。」

一年ぶりに会った先生はいつもと変わらない

笑顔で招き入れてくれた。

「蓮人くん。また背伸びたんじゃない?」

施設にいたときと同じように話してくれる先

生の背中は、少し震えていた。

「先生。手紙、見ました。ちゃんと教えてく

ださい。」

それは、一か月前。

「黒宮蓮人様。

お元気ですか?あなたが立派に旅立ってから

もうすぐ一年が経ちます。
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