オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
「もも?」

「えっ?」

「浮かない顔してるけど…。」

私ってそんなにわかりやすいの!?

でも、こんな恥ずかしいこと、口が裂けても

言えない。

「大丈夫ですよっ!」

蓮人さんはこの笑顔で喜んでくれるって言っ

てた。だから、余計なこと考えないで笑って

なきゃっ!

「ふーん。」

冷たく吐き捨てられたと思って、蓮人さんの

顔を見上げると、口端に意地悪な笑みが浮か

べられていて。

これ、なんか、やばい…?と思った時にはも

う遅かった。

「言えないんじゃ、お仕置きされても仕方な

いよね?」

薄暗い路地に連れ込まれて、壁と蓮人さんの

大きな体に閉じ込められていた。

「お仕置き…というのは…?」

明らかに外でするようなことではないような

気がする。

「ここも欲しいし、ここも欲しいし…。」

蓮人さんの細い指が髪に触れて、耳に触れ

て、首筋に触れて、唇に触れて。

「一つに選べないから、全部もらう。」

意地悪な笑顔は優しい笑顔に変わって、甘く

深いキスに溺れていく。

息継ぎをしようとするたびに、漏れてしまい

そうな声を必死に堪える。

こんなキス、初めて…。

離れていく蓮人さんの熱に寂しさを感じなが

ら、真っ赤になっているだろう自分の顔を見

られたくなくて、蓮人さんの広い胸に顔を埋

める。

「なんか悩みあるなら言って。」

頭を優しく撫でられて、自然と口が開く。
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