上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「羽場さん、気にしちゃダメよ。2人の仲をはっきり言ってやれないのが悔しいわ。三上さんは、きっと事情があって、羽場さんに言えてないだけよ。人事のことだからね。それに、急なことだっただろうから、ばたばたしてるのよ。きっと、落ち着いたら連絡をくれるわよ」

「……はい」

それから、なんとか集中して仕事を進めた。
とは言っても、やっぱりいつも通りではなくて、進みは遅い。


昼休みになっても、三上さんからの連絡は来なかった。きっと、休憩もままならないぐらい、忙しくしているのだろうと、自分を納得させた。


なんとなく自分からは連絡できなくて、そのまま定時を迎えてしまった。

「お先に失礼します」

「羽場さん……大丈夫?」

「はい。信じて待っててって言われてるので……」

「待つだけじゃなくて、羽場さんから連絡してもいいのよ?」

「はい……」

川北さんが気遣ってくれるのが伝わってくる。
涼介さんも哲平さんも、〝信じて〟って言っていた。大丈夫、大丈夫。

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