上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
帰宅して1人になって、涼介さんにメールをしてみようと覚悟を決めた。
電話だと忙しくて出られないかもしれないし……と、勇気のなさを相手の都合にすり替えて。

『お疲れさま。突然の異動に驚いたよ。』

意を決して送信したものの、すぐに返信が来ることはなかった。


それから2時間ほど経って、時計の針は23時を指していた。
待っていることもなんかしんどくて、布団に入ろうとしていた時、涼介さんから電話がかかってきた。

「も、もしもし」

「しおり。なかなか連絡できなくて、悪い」

「ううん……いろいろ、突然のことで驚いた」

「ごめん。相手がしおりでも、人事のことを事前に話すことはできなくて。水曜日に全部きちんと話すから、信じて待っていて欲しい。悪い。まだ出なきゃいけないから。またら連絡する」

慌ただしい感じからすると、まだ仕事中なのだろう。欲しい回答は得られなかった。やっぱり、水曜日を待つしかなさそうだ。


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