上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「私は……私は、優しい人間なんかじゃありません。優しくなんてないんです。この真面目な性格だって、なりたくてなったわけじゃないし……
ならざるを得なかった……
私は、優しい子でもないし、いい子だと言われるような人間でもありません」

「それは……うん。理由は聞いて欲しくないんだろうな。気になるけれど、羽場ちゃんがそうしてくれたように、俺も聞かないでおくよ。今は」


なんとなく気まずくなってしまったタイミングで、料理が運ばれてきて救われた。この雰囲気を変えたくて、料理だけに意識を向けた。

「うわあ、美味しそうですね」

「だろ?羽場ちゃんは、何気に食べること好きだよね?いつもランチの時は、買い物を済ませると浮かれた感じで帰ってくる。それに、お一人様だろうが平気で外食するみたいだし。パンケーキだって、調べて行ったんでしょ?」

「えっ!?浮かれてました?」

この人、本当に人のことをよく見ている。脱力気味な姿が、それを感じさせないけど。

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