初めての to be continued…
4. 雄大
「じゃあ次は私も一緒に作るね」

かちゃん。

思いがけない言葉を聞いて、手から力が抜けて、箸を落とした。
芳子さんは、何事かと俺を見ている。

次は。一緒に。

好きになってもらうって言ったけど、自信なんてなかった。
ただの後輩として、言ってるのかもしれない。
この表情を見る限り、多分あまり考えないで言ってる。
でも。
次、が自然に出てくる。
それが、凄く嬉しくて。

「……どうかした?」
「次が……あるって、思って、いいんですか?」
「え……」

芳子さんは一瞬固まって、顔を真っ赤にしてうつむいた。
今、頭の中はフル回転してるに違いない。
やばいやばい、もう可愛くてたまらない。

芳子さんは、うつむいたまま、ぽそっと言った。
「……いい」
「えっ?」
更に顔を赤くして、小さな声で言う。
「思って、いいよ。また、一緒に、ギョーザ食べたい」

信じられない。
今の、芳子さんが言った?
俺の妄想じゃないよね?

口の中がカラカラで、うまく声が出せない。
「……ほんとに?」
芳子さんは、うつむいたままで、頷いた。

頭の中が、真っ白になった。
なにも考えずに、芳子さんを抱きしめていた。

あったかくて、やわらかくて、いい匂いがして。
このまま、ずっとこうしていたい。

固まっていた芳子さんの体から、段々力が抜けていく。
止めていた息を再開して、何回か呼吸した後、芳子さんの手が、俺の背中にまわった。

「私、雄大が好き」

今、なにか聞こえた……。

「……え……」
「……私、雄大が好き……」

俺は、夢を見てるんだろうか。
芳子さんが、好きって言ってる。
『好き』って言ってる!



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