エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
今日、ここに来るには並々ならぬ覚悟があったはずだ。
こうして罵倒されることも想定内だったはず。
けれども、逃げることなくまっすぐにぶつかってくれた彼となら、ずっと一緒に生きていける。
「和宏くん、パパとママのこんな姿見たくないわよね。おばあちゃんとおやつ食べようか。ケーキ買ってきてくれたんでしょ? どれがいいか選んでね」
「うん」
母の明るい声は救いだった。
ためらいがちに返事をする和宏に、「一緒に行っておいで」と促すと、キッチンに向かった母のあとをついていく。
「まったく。母さんは甘い」
難しい顔をして視線をそらす父がつぶやく。
「あら、ひとりで怒っていればいいじゃないの。和宏くんと仲良くできなくても知りませんけど」
母の平然とした声がキッチンから聞こえてくる。
表向きは亭主関白に見える我が家だが、実は母のほうがいい意味で強い。
母の鋭い指摘に、父は表情を曇らせた。
「和宏くん。頑固なおじいちゃんは放っておいて、ケーキ食べようね。ママとパパはどれがいいかしら?」