エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
坂田さんに独立なんて話を聞いたせいか、チラチラ宏希さんを見てしまう。
本気、なのだろうか。
「それじゃ、あと頼んだぞ。坂田、資料よくなったか?」
「波多野さん効果でばっちりです」
「そうか。クライアントとの折衝は任せたからな」
専務としての仕事の比率のほうが高くなっているが、宏希さんはこうして部員に声をかけることも忘れない。
彼は出ていくときにチラッと私に視線をあわせて微笑んだ。
「波多野、サンキュな。そろそろ上がれ」
「はい、お先に失礼します」
私は沖さんに促されて席を立った。
玄関に向かう途中で、社長秘書の佐藤さんと出くわした。
特に話すこともないので、小さく頭を下げ通り過ぎようとした。
「社長がご立腹です」
しかしすれ違いざまにささやかれ、足が止まる。
「専務が会社を離れられるなんてとんでもない。あなたは疫病神です」
やはり、独立を目論んでいるのは本当なんだ。