エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
次のパスはうまくいったが、和宏が盛大に空振りをした。
残念がる彼は、転がっていくボールを追いかけて公園の端のほうに走っていく。
「和宏、外に出ちゃダメ!」
車通りは激しくないとはいえ公園の隣の道は危険だ。
大きな声で叫び焦って追いかけると、和宏はピタリと足を止めた。
男の人がボールを拾ってくれたようだ。
「ありがとう!」
和宏はその人のところに駆け寄り、ボールを受け取った。
私もお礼を言おうとさらに近寄ったが、足が止まる。
宏希、さん……?
白いオックスフォードシャツの袖をまくり上げ、ジーンズ姿の彼は、あの頃と変わらない優しい笑顔で和宏にボールを差し出した。
「お、この靴、俺が作ったんだぞ。使ってくれてありがとう」
「ホント? ママ、この靴、おじちゃんが作ったんだって!」
和宏が叫ぶので、宏希さんの視線が私に向いてしまった。
すると彼は、ハッとしたような表情を見せる。