エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
未練がましいと思われただろうか。
「でも、こんな……」
彼は唇を噛みしめて苦しげな表情を見せる。
「体を壊すまで働いたらダメだ。和宏くんのためなのはわかってる。でも、自分も大切にして」
そんな優しい言葉に目頭が熱くなる。
しかし、和宏を一人前にしなければ。
私が産むと決めたのだから。
「俺の子、だよね」
ストレートに尋ねられて動揺で目が泳ぐ。
「違います」
『はい』と告白したい衝動に駆られたが、お父さまに『宏希は責任感が強いですから、お付き合いをしたからには結婚しなければと思ったんでしょうね』と言われたことを思い出してこらえた。
私の記憶がないのに、自分が妊娠させたと自責の念に駆られているのなら、それは違う。
いや、まだ彼のことを愛している私には、責任感だけでつながるなんて虚しくて耐えられない。