リペイントオレンジ🍊
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朝、菅野さんの家から出勤したばかりなのに、菅野さんの家までの道はうろ覚え。
当たり前だ。
また訪ねるつもりも、覚えるつもりも、これっぽっちもなかったんだから。
「……着いた、ここだ」
確かこの辺り……。
いや、もっと先だったかも……なんて。
あっちこっちウロウロと不審者のごとく歩き回って、やっと見覚えのあるマンションの前。
朝は急いでたからちゃんと見もしなかったけど、改めて見ると大きなマンションだな。
「鍵、早く探して帰ろ」
菅野さんは消防署。
分かっているのに、どこかに菅野さんがいるんじゃないかと、挙動不審になってしまう。
いかん、いかん。
こんなんじゃ本当に不審者として警察に突き出されてしまう。
エレベーターのボタンを押して、すぐに開いたドアを確認した私は、”自分の部屋に帰るくらい普通に!”と自分に言い聞かせて胸を張ってエレベーターへと飛び込んだ。