リペイントオレンジ🍊
彼女さんはそちらでは!?と思いつつも、急なことに言葉に詰まる。
「……っ、あの」
「なーんだ、尊のやつちゃんと前に進めたんだね」
”安心、安心”なんて笑いながら、小さく頷いてみせるお姉さんに、もう何が何だか分からない。
そう言えばこの前、居酒屋で会った時に堀さんも菅野さんの過去がどうの色々言ってたっけ。
……もちろん、菅野さんは私なんかに話してくれる気はさらさらなさそうだったけど。菅野さん、過去に何があったんだろう。
って、それより。
「あの、あなたは……その」
「あー!ごめんね?突然来てビックリさせちゃって。私、菅野 海穂(すがの みほ)。尊の姉です」
”よろしくね、尊の彼女さん”
なんて、語尾に音符マークでもついてそうなくらいルンルンで微笑まれると、つい否定し損ねそうになる。
───けど!!
「私、彼女じゃなくて……」
「え?違うの?尊が部屋に入れるなんててっきり……あ、それ」
「……え、」
間一髪、否定できてホッとしていた私の手首を海穂さんはグッと自分に引き寄せた。
「何このメモ。”ありがとうございました”って……やだ!!もしかして、別れ話!?」