リペイントオレンジ🍊


***


「おかしい!!昼休まだけ時間が経つのが早すぎる!!」

「そんなこと言っても仕方ないでしょ」

「だって、絶対にまだ30分くらいしか経ってないのに!1時間も経ったなんて嘘だ!」

「嘘じゃありませ〜ん!ほら、午後の見学の時間だよ。午前は沢山メモしてて偉かったね。午後も頑張ってメモ取って、帰ってからの発表に役立てなきゃね」

「……メモ、取ってたこと知ってたんだ」

「当たり前じゃん!先生、こう見えてみんなのことちゃーんと見てるよ?」


お昼ご飯を一緒に食べて上機嫌だったはずの蒼介くんは、午後の見学が開始する時間になると駄々をこね始めた。


まだ3年生。10歳の男の子。
そう思えば思うほど、どんなワガママも理不尽なお怒りも私には可愛く思えて仕方ない。


「みんなじゃなくて、俺のこと見てて欲しいのに!」

「もちろん、蒼介くんのことだって……」

「もういいよ!!じゃあなっ」

「あ、ちょ……!蒼介くん!?」


だけど、蒼介くんにしてみれば、子ども扱いされることが嫌らしく。

……あぁ、ほんと、難しいな。
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