陰の王子様
しばらくして、彼女が支給係に何か責め立てているのが見えた。
目立たないよう、近寄ってみる。
「美味しくないわね!こんなのを私に飲ませてどういうつもりなの!?それに女ばっかりじゃない!イオもいないし、良い男もいない!つまんないわ!!」
後半の言葉は彼に関係ないが…。
支給係も困り果て、周りは関わらないように見ないふりをしている。
良いタイミングかもしれない。
「申し訳ございません。美味しいお酒ならあちらにありますので、ご案内させていただきます。」
2人の間に割り込み、支給係を下がらせる。
「あら、あなた騎士の方?……顔はハッキリ見えないけど、綺麗な顔してるわね。」
「お褒めに預かり光栄です。」
手を差し出す彼女
その手を取り、腰に軽く手を添える。
「あら、良い男じゃない!名前は?」
「シンアと申します。」
「シンアは何歳?」
「20です。」