陰の王子様
ああ、なんて美しい光景なんだ…。
まるで白馬の王子様だ。
誰もが見ても美しいと言える光景をこんな至近距離で見てしまっている。
「エディ、レティシアだ。覚えてるか?」
ぼうっと眺めていると、私に話が及びはっとする。
「…エディ、あの時は助けてくれて、ありがとうございました。」
深くお辞儀をすれば、エディの鼻が頭にこつんとあたった。
顔を上げれば、イオ様に擦り寄せていた顔を今度は私に擦り寄せてくれる。
「あらら、好かれるの早いねー。俺なんか、ちょっとへましたら嫌われるのに。」
ぐいぐいと擦り寄せてくるエディの顔をそっと撫でてみる。
綺麗な馬だけど、近くで見ると筋肉がものすごい。
ジョセフさんが言ってた、『イオ様の馬は賢いし、速いし、綺麗なんだよ。』が一目見ただけで納得いく。