陰の王子様






「ルシア様、何故私たちだけではなく、コヴィー家まで呼ばれたのです?」



お2人の会話に水を差すように、キース公爵夫人はきつめに話し、向かい側に座っている、主に私を流し見る。



「コヴィー家の御令嬢がキース家の侍女を助け出したそうじゃないか。ユヒが何か彼女にしてやれないかと私に相談に来たから乗ってあげたんだ。」





あの時以来、国王と目が合う。

緊張しながらも、優しい眼差しの国王に軽く頭を下げた。


「貴方、そんなこと考えていたの。」

「当たり前だよ。レティシア嬢は命をかけて我がキース家の侍女を救ってくれたんだ。」

「何がいいかと考えていたんだ。…これは、君にとっては、もしかしたら迷惑な話かもしれない。そうだったら遠慮なく断ってくれていいんだけど。」




何を言われるのか、全く想像がつかない。
向かいに座るライラ様も、じっと国王を見ている。



「良ければ、後宮に入らないか?」





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