陰の王子様






静まりかえる室内


ジョセフさんは優雅に出されたお茶を飲んで、キース公爵はお茶の匂いに感動してたり、ひと口飲んで顔がさらに緩んだり。



その公爵の隣には公爵夫人が口元に扇子を広げ、私は夫人の目の圧で潰されてしまいそうだ。



公爵夫人の隣で、私の正面にいるライラ様は落ち着いて座っているように見えるけど、髪やドレスを頻繁に触っているから、緊張しているように見える。





「皆様、王の元へご案内させていただきます。」


姿勢の良い使用人さんらしき人が、キース公爵家とコヴィー侯爵家を引き連れて歩いている様子に通りすがった使用人さんや騎士は何事かと表情を硬くしていた。








「建て替えの進捗はどうだ?」

「順調に進んでおります。これも王が熟練の職人たちをご紹介していただいたおかげです。」

「ユヒがお咎めなしとしたと聞いてね。心優しい友人へ私からの気持ちだ。」





穏やかな空気が流れている。

きっと小さな頃から仲が良かったんだろうなと容易に想像できるような、そんな優しい空間





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