陰の王子様
「また来てね!いつでも大歓迎だから!」
「はい。すみません、色々…。本当、お世話になりました。」
頭を下げる自分にキラさんは止めてと言った。
ゆっくり顔を上げれば、ギュッと抱きしめられ、頭を撫でられる。
「友達でしょ?そんな気使わないでいいの。……また会おうね、レティシア」
「……はい。キラさん」
バタンと閉まったドアを確認して、ベッドに横たわる。
キラさんの言った通り、泣いたら少しはスッキリしたかもしれない。
頭の中が整理された気がした。
…やっと、決着をつける時がきたんだ。
10年前、わずかな手がかりを手に、ここウィザリア王国に来た。
それから、10年。
長かった…。