1日限定両想い

そのたった一言が、俺の心を奥の奥まで貫いた。


何かできると思っていた。

助けを求めてくれたなら、力になれると思っていた。

思っていた、だけだった。



『先生たちは何かあったら言えって言うけど、言ったところで何かが変わるんですか?』

「須崎、ごめん。」


須崎の両目からはらはらと涙が溢れ出て、とっさに謝ってしまう。

刺さった言葉が抜けなくて、苦しい。



『誰も何もしてくれない。おじさんだっておばさんだって何もしてくれないのに…先生に何ができるんですか?何を言えばいいんですか?』

「そうだよな。ごめんな。」


早朝の静かな廊下に須崎の泣き声だけが響く。

今この状況に感情が追いついていないのか、須崎の言葉はどんどんまとまりを失っていく。



『おじいちゃんにご飯を食べさせてって言ってもいいの?おむつを買って来てって言ってもいいの?そんなことできない…できないでしょう…?』


心が壊れてしまったみたいに泣き崩れる須崎を、倒れ込む寸前で抱きとめる。

心が痛くて、苦しくて、須崎のことを思うと息ができなかった。



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