1日限定両想い

「開けてええか。」

『はい。』


静かにカーテンを開くと、須崎がベッドに座っていた。

季節は梅雨に入り、夏服を着始める生徒がほとんどの中で須崎はまだ長袖のままだ。

それでもまた痩せたような気がする。



「いつから起きてた。」

『残って様子見てるって先生が言ったところです。』


ついさっきだ。

ということは、親に連絡がいくことは知らない。

なんとなく、須崎はそのことを嫌がる気がした。



『菊池先生に電話すれば良かった。』

「え?」


俯いたままつぶやかれた言葉に、須崎の表情が少しゆがむ。

それが涙をこらえているように見えて、無意識に一歩距離を縮めていた。

少しだけ開かれたカーテンの隙間からその中に入ってしまう形になり、一瞬動揺したのは俺だけで。



『新田先生に変なとこ見せてしまう前に、菊池先生に電話してれば良かった…。』


俯いたままの須崎は何も気付いていないように続ける。


新田に抱えられていた須崎。

取り乱してしまったことや、それが新田の前だったことを悔やんでいるようだった。



< 120 / 250 >

この作品をシェア

pagetop