1日限定両想い
『よう頑張ったな。須崎がいて、家族はほんまに助かってると思うで。』
「菊池先生がいたから…」
菊池先生がいてくれたから頑張れた。
そう伝えたかったけれど、言葉を止めた。
先輩と話したときに、ちゃんと自覚した"好き"という気持ち。
顔を見て、目を見て伝えたくてそっと腕をすり抜ける。
「私、菊池先生のこと…」
『言うな。』
「え?」
『それ以上言うな。』
目線を逸らして俯いた菊池先生が、今までになく淡々とした声で言う。
『たまたま須崎がつらいときに近くにおった、それだけのことや。』
「どういう意味ですか…?」
『ちょっと優しくされたことを、そういう気持ちと勘違いしてるだけや。』
「意味が分かりません。」
勘違いなんかじゃない。
この気持ちは、絶対に勘違いなんかじゃない。
「私は先生のことが好きなんです。」
『須崎、』
「だって桜木先輩だって新田先生だって優しくしてくれたけど、好きだなんて思わなかった。私がそう思うのは菊池先生だけ」
『須崎!』
必死で伝える私の言葉を菊池先生が遮る。
ただ、伝えたいだけなのに。