1日限定両想い

教師と生徒が学校外で2人でいる。

その目撃者は、おそらくそれを誰にも話していないのだろう。

生徒たちは長めの夏休みという説明を素直に受け入れているし、菊池先生に関する噂は一切耳にしない。


ただ単に校長に報告したから満足しただけなのかもしれないが、俺にはその静けさがやけに不気味だった。



菊池先生不在のまま、学校は夏休みに入った。

夏休みまでという期間だったから謹慎は明けたことになるが、菊池先生は空手部の部活にも顔を出さないままだ。



「…え?」


いつもより静かな職員室を開けると、そこに久しぶりに見る顔があった。



「菊池先生。来てたんですか?」

『おう、久しぶりやな。』

「本当ですよ…って、え?何してるんですか?」

『片付けや。』


見ての通りという風に言う菊池先生は、止めることなく手を動かしてデスクの荷物をダンボール箱に入れていく。


片付けって…どうして…。


考えて辿り着く答えはひとつしかなくて、心が騒ぐ。



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