1日限定両想い
『だからちゃんと話して、どんな進路を選ぶにしても竹石先生を納得させられるようにしておけ。』
「はい…ありがとうございます。」
『今かけてもいいか?』
「お願いします。」
新田先生がスマホを取り出して操作するのを緊張しながら見守る。
1年以上聞いていない声。
聞いてしまえばすぐに感情が溢れ出しそうで、頭の中で会話を組み立てる。
祖母のことも報告したかった。
大阪へ行ってもいいか聞きたかった。
何より、元気でいるのか知りたかった。
『…え?』
スマホを握った新田先生が空気のような声を出す。
そのまま差し出され、恐る恐る受け取って耳に当てる。
「…え?」
そして私も、同じようにただ空気を吐き出した。
この電話番号は現在使用されておりません。
何の感情もない機械的な音声が繰り返し流れている。
使用されていない…?
嫌われても、拒まれてさえもいなかった。
ただ、なかったことにされていただけ。