1日限定両想い
「手紙のやりとりって、いつからされてたんですか?」
『菊池先生が学校を辞めて大阪に帰ってからしばらくして、手紙が届いたの。』
「じゃあもう1年以上ずっと…」
俺が必死に菊池先生を探していた間、菊池先生は竹石先生にどんな近況を話していたのだろう。
差し出されたままの手紙を手にできないまま、ただその無機質な封筒を眺める。
竹石先生がこれを俺に見せるということは、俺に知らせたい何かがあるということだ。
それを知ることが、怖い。
『読みたくない?』
「いえ、すみません…。」
『私ね、ずっと責任感じてるの。』
竹石先生は1度手紙を自分の手元に戻すと、苦しそうに言葉を吐き出した。
『菊池先生が謹慎になったとき、私どうしても気になって本人に問い詰めてしまって。』
「…須崎のことですか?」
『そう。』
心詠、と言いかけてとっさに言い変える。
竹石先生は1年と3年のときに心詠を担任していて、ずっと気にかけていた。