1日限定両想い
《まっすぐに自分を求めてくれる須崎の傍にいたいと心から思っていました。でも教師だからこれ以上は傍にいられないと、立場を利用して須崎から離れました。》
《今思えば、教師として傍にいることはできたはずです。自分さえ気持ちを抑えることができていれば、教師としていくらでも須崎を助けてあげることができた。》
最後に職員室で向かい合った日を思い出す。
隠しても隠し切れなかった、本当は傍にいたいという気持ち。
《ただ須崎の人生を壊したくないと思っていました。自分だけが辞めていなくなれば、須崎は何事もなかったようにまた日々を送り始めて、いずれ別の誰かを好きになる。》
《須崎は元気でいるかと思わない日はありません。》
《自分じゃない誰かと、幸せでいてくれればいいと願っています。》
ひたすらその想いと苦しさに胸をえぐられ、綺麗な便箋を握りしめた。
心詠を失いたくなかった。
でも菊池先生は心詠を失った。
それでも尚、幸せでいてくれればいいと願っている。
自分じゃない誰かと。
…俺と。