愛は惜しみなく与う④
杏は、俺の腕を掴むんじゃなく
そっと優しく

手を繋いだ


荒々しかった心の中も、何故かスッと落ち着いている

そして



何も言わず、泉は俺の隣にきて、杏と同じように横に並んだ


俺の左には杏が
右には泉がいる


2人とも俺と同じ目線で、同じ場所に並んでくれた



やべぇよ

泣きそうだよ、ほんとに




「ひと時でも朔の弟やったって聞いたから、どんな奴か思ったら…ただの、チンピラやん」


気ぃはって損したわ


杏はいつも通りそう、淡々と言いのけた



周りに倒れていた男たちもフラフラと立ち上がり、大和の後ろに立つ



杏と泉は、俺の隣に立ってくれるから



「久しぶりだな、大和。お前まだ懲りてなかったんだな」


???

泉はタバコに火をつけて、その煙を吐き出すとともに、大和に声をかけた


泉は大和と面識あったっけ?
小学生の時だろ?会ったのって

でも

泉の久しぶりだな、という言葉が、どうもその時を指している感じがしなかった



「…蕪木泉。ことごとく邪魔してくるね、あんた」


大和の言葉の意味が理解できなかった
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