愛は惜しみなく与う④
俯く杏様の頬に触れると、温かいものが


「涙が出るほど悲しかったですか?」


私の前では…杏様は全然泣かなかったのに。
ここに来てから、よく泣くんですね…


「…悲しくない!悔しい」

「やり方は不器用ですが…気持ちはわかるでしょう」

「気持ちがわかるからと言って、素直に受け止めれるかは別や!」


まぁなんともストレートな意見。そうですけども…


「私はあなたを泣かせてあげることは出来ませんでした。今からでも遅くないのなら、泣きたいなら泣きなさい。聞いてあげますから」


ほら

そう言うとジトっと睨んだ後に、私の背後に周り、背中にピトッとくっついた



「あたし、弱い?」

「んー強いけど、杏は女の子だからな」

「朔が…あたしに壁作った」

「杏も昔、俺らにそうしたろ。守りたいから突き放しただろ。気持ち分かってやれ」

「なんかムカつく。執事モード…」

「甘えてきたくせに、執事モードに戻れとはいい度胸だな」


可愛い可愛い杏
背中の温もりは手放し難いけど、今は貴方の心が心配だから
< 31 / 443 >

この作品をシェア

pagetop