愛は惜しみなく与う④
------

「杏様…痛いです」


部屋から飛び出した杏様

ほんとうに不器用すぎて、驚きました。


朔さんは杏様を好きだとは、わたしには教えてくれませんでしたけど。

彼は彼なりに

不器用なりに杏様を護ろうとしてくれてるんですね


ここへ来て、何故こんなにも母親のような気持ちになるのか不思議で仕方ありませんが…


杏様を思う皆様を見ていると
私もお手伝いしたくなります。

只今私は…


「アホ!ボケ!なによ!」


怒って泣きそうな杏様をなだめる役目を授かりましてので…
痛い痛い…

こんな細い腕が当たっても、何も感じないはずなのに、どこから力が湧いてきているのか


「このままですと、杏様に殴られて、私が腫れ上がってしまいます」


そう言うとピタリと杏様の手は止まる


消して八つ当たりで殴られているわけではありませんよ?あの漫画とかで言う、もーー!ポカポカ!っていう可愛いやつをされてるだけです


力加減は置いておいて…


「そんな悲しい顔をしないでください」

< 30 / 443 >

この作品をシェア

pagetop