愛は惜しみなく与う④
少し似ているから


朔さんも、愛を注がれずに、居ないものとして扱われていた時期がある


「頑張って、何かあればいつでもどうぞ」


杏様もですが、頼り方が分からないんでしょうね。朔さんも。
とても不器用だ


そこがとても、似ている



「よっしゃ!やったるで!!!」



謎のガッツポーズをして、元気になった様子の杏様。立ち直りが羨ましいくらい早い…

やれやれ

泉でも呼びに行きましょうかとこの場を離れようとすると、泉が来る


いいタイミング



「あ、いた!」

必死に探していたのか少し息を切らしている。そう言えば。杏様を適当に追いかけてきましたけど、ここはどこでしょうか


「なんで、こんな敷地の端っこに居るんだよ」


どうやら結構走ったようで

ふぅ
と一呼吸置いて、泉は杏様に近づき手を取った

おーおー青春を私の前で感じるのはやめて下さいよ?


何をするのかと思えば



「杏、一緒に水瀬のところへ行こう」



ふん。杏様のことよく分かってるじゃないですか
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