愛は惜しみなく与う④
「指一本杏には触れさせないから。嫌なこと思い出して嫌な気持ちにさせてしまうかも知れないけど…でも…杏にも来てほしい。それで…

一緒に朔を助けてほしい。俺たちだけじゃ、きっと無理だから」


いつもの無口なクールさは、どこへ行ったのやら

杏様も言ってましたが
大事な時や、何かを伝える時


泉はよく喋る




「もちろん!あたしも行く!迎えにきてくれてありがとう」


あーあーあー

そんなニコリと笑っちゃ…
泉が喜ぶじゃありませんか…

ほな行こう


杏様はパッと泉の手を取る


あぁ
こうやって側にいれることは嬉しいですけど、私より誰かを優先するのは、あまり見たくありませんね…

なーんて
私のただの我儘ですがね


モヤっとしてしまう自分に嫌気が差します

気持ちを切り替えて、2人についていこうとすると、ギュッと手を掴まれた



「志木も!いくで!」


あぁ
貴方って人は…



こういうことをするから


私はまだあなたを


心のどこかで諦め切れないんですよ……


私はあなたの望む私で有りたいのに



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