愛は惜しみなく与う④
志木は今からは、明日の摘発の準備に取り掛かってもらわなアカン。
やし、ここで別れな。
「タクシー拾って」
あたしの言葉に頷いて、志木は車の鍵を渡してくれた。
「泉!運転して」
鍵を渡すと、泉は険しい顔で電話を切った
「どう?」
「…silver KINGが、倉庫に来たらしい。すぐにみんな向かったけど、途中で朔が居なくなったみたいだ」
少しイライラしている様子の泉は、車に飛び乗り、すぐさま車を発進させた
まさか…silver KINGの方から動いてくるとは思わへんかった。てゆうか、朔の弟が総長ってことやんな?
朔は…
「どこ行ったと思う?」
「……赤羽組のところか…実家かな」
赤羽組のところには、行かんといてほしい。こっちも準備してるし、さすがの朔も、1人で乗り込むことはせんと思う
あるとしたら
実家か…
「実家は、分かる?」
「あぁ」
「ほな、実家いこ。いる気がする」
朔の嫌な思い出がたくさん詰まってるであろう実家。そこに自ら足を踏み入れるのは、とても…とても精神的に辛いもんやと思う