イルカ、恋うた
「それが現実は、検事の許可がないと面接できなくなっている。

原則なんて守られていないんだ。今じゃ、どうか知らんが、当時はそうだった。

検事はある程度の時間しか、弁護士に面会時間を与えなかった」


伊藤弁護士からは、そんな話は聞いてなかった。


初公判では否定していた内容も、三回目では認めた御崎。


この間に、弁護士と会えたんだろうか?


いや、裁判中は制限はないはず。


「俺が知るのは、これだけだな。御崎とはもちろん会えないし、心境は分からない。

ただ、兄弟揃って、首領を尊敬していた。警察病院で死んだことについても、確かに逆恨みしてそうだな。

にしても、なぜ首領は家宅捜査前に、覚醒剤、その他証拠品となるものを隠さなかったんだろう。

他の組織の場合、家宅捜査まで踏み切っても、事前に知り得た相手側は隠したり、破棄したりしてたんだよ。

当日、神妙に構えてたらしいし。抵抗しないで、あっさり逮捕されたんだよな」


「部下が逮捕されているから、言い逃れできないと思ったんじゃ…」


岩居さんはまた、首を振った。

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