イルカ、恋うた
「まあな。俺だって、野村さんの事件は不審に思ってた点があるんだ。

だけど、俺は調べてやろうとか、そんな意欲も勇気もなかった。なんせ、上層部を敵に回すのは、嫌だと考えてた。

だから、本当はお前も止めたかったけど、忘れる忘れる言いながら、調べてんだもん。

それに、係長にバレてるなんて、俺も初耳だった」

俺は何も言えなかった。


彼にも心配をかけてるし、下手したら迷惑かける。


しかし、岩居さんは耳打ちした。


「接見禁止って知っているか?」


「……逃亡、罪証隠滅防止のために、被疑者に付けられているんですよね。疑うに足りる相当な理由が必要でしょう」


「でも、現状は自白させるための手段として、使用されている場合が多いんだぜ。当時、御崎には付けられてた」


つまり、彼は自白に追い込まれた可能があるんだ。


だけど……


「弁護士は自由に会えますよね?」


俺が訊くと、岩居さんは首を振る。

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