イルカ、恋うた
ま、いいか。


俺がそんな選択をしたのは、全寮制であることと……実の父親のことで…。

あの家は嫌いじゃない。


だけど、できるだけ早く出たかった。


そして、警察なら父親の行方を捜しやすいのでは、という単純な発想だった。


迷いはあった。


こんな決め方で本当にいいのか、と。


俺は何も相談しなかったのに…


「いいんじゃないの」

と、木田は言った。


「警視までいってくれよ。リークしたことは黙っててやるから」


と、冗談も加えて。


「そうだな…。うん、やってみる」


木田に向かって、敬礼した。



ずっと、迷っていたのだが、これを機に養父母に話した。


反対はなかった。


「そうか…」


と頷き、義父は腕を組んだ。

義母は寂しそうにしてたけど、「頑張りなさい」と言ってくれた。


反対はないまま、卒業後は宣言通り、警察学校へ入校した。


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