イルカ、恋うた

ありえない再会

配属して、三ヶ月経つ頃。

ようやく、雰囲気に慣れてきた。


そんな中、管轄内で事件が起こった。


空港へ向かう一台の車に、突然銃弾が放たれた。


運転手は、頭部を窓ガラスの破片で切り、軽傷。


後部座席に乗っていた中年男性が、意識不明の重体だった。


撃たれたのは、四発。

運転手側、前輪に一発。


三発は歩道側から撃ち込まれた。


それぞれ、男性の脇腹を貫通。

側頭部にかすり傷を負わせ、胸部を貫通。心臓からはそれていた。


車は公用車で、乗っていたのは東京地検の検事正、佐伯耕造氏。


空港へ向かう途中、比較的人気のない道路を通ったところ、襲撃を受けた様子。


これだけ見ると、通るのを知っていたんじゃないか、と思われる。


だが、撃ち方が突発的で、計画性はあるようでない。


犯人は不明。

何も盗られてなく、動機は過去の事件の逆恨みではないか、と推測。


所轄である自分達の出番か、と思っていたけど、署内は至って、冷静だった。


特別捜査本部を立ち上げ、本庁から刑事が派遣されるのだ。


「本庁様の仕切りだってよ。それで、早い話が俺達はパシリよ。運転手が常か、せいぜい聞き込みか」
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